ママに知ってほしい、赤ちゃんの虫歯を治療するときには
2017年08月20日
ミュータンス菌は外からやってきます
むし歯はミュータンス菌によって引き起こされる感染症ですが、この菌は、生まれたての赤ちゃんのお口の中に歯には生息しません。
ミュータンス菌は歯の表面のような硬い場所がなければ繁殖できないので、歯が生えていない赤ちゃんのお口の中では、生きていけないのです。
お口の中にミュータンス菌が増え始める時期は、歯が生え始めた生後6ヶ月くらいからです。
特に1歳半〜2歳半の時期は最も感染することが多くなり、この時期のことを「感染の窓」と言います。
ミュータンス菌は、お母さん・お父さんなど、赤ちゃんと触れ合う機会の多い家族から、食事中のお箸・スプーンの共有や、フーフー冷ましや、離乳食の味や温度チェック、食べ物の口移しなどによって唾液を介して感染します。
むし歯に気をつける時期
歯がない状態ではミュータンス菌がほとんど繁殖しませんので、上の前歯が生え始める前までは、まだむし歯に関してあまり神経質になる必要はありません。
前歯が生えた頃から、ガーゼや綿棒で軽く歯を清掃する程度で大丈夫です。
ただし砂糖+母乳という組み合わせはむし歯のリスクが高まります。
また哺乳瓶でスポーツドリンクやジュースを入れて与えている、寝かしつけにミルクの入った哺乳瓶を与えて寝かせてしまうと「哺乳瓶むし歯」になる可能性もあります。
本格的に気をつけなければいけないのは、乳歯がだいぶ生えてきて離乳食を食べる頃(1歳半〜)です。
食事に糖分が含まれるようになると、むし歯菌は普通にプラークを作るようになりますから、そのときに生成された酸で、赤ちゃんの歯が脱灰していきます。
お子さまの唾液には歯の表面を再石灰化する力が備わっていますので、脱灰した歯を元に戻すことができますが、歯にプラークが溜まったままだと脱灰が進んで歯に穴が空いてしまいます。
サホライドとFバニッシュ
毎日のお口の清掃を続けていたら、お母さんが赤ちゃんの歯に大きなむし歯の穴を作ってしまうことは非常に稀なことです。
だいたいは気付く際には初期的な白み・黄ばみのような初期むし歯です。
こういった初期むし歯は、ほとんどの場合は削る治療ではなく、お薬による治療になります。
一般のお母さま方でもわりとご存知なのが「サホライド」です。
むし歯の進行を遅らせると同時に、お湯やお水を飲んだ時のしみる感じ(知覚過敏)も抑えてくれます。
効果を見ながら何度か患部に塗っていきますが、デメリットとしては、
・お薬を塗ったむし歯の部分が、光に当たると黒くなる
・殺菌効果はあるが、むし歯になった歯を完全に回復させる薬ではない
という点があります。
そもそもむし歯とは「菌の出す酸によって歯が溶けて穴が空く」病気なので、その穴を復活させるお薬というものはありません。
ですので穴が空く前の初期むし歯に有効です。
あくまで「むし歯の進行を遅らせて、穴が空くのを防ぐ薬」と、ご理解ください。
そして、このサホライドの「黒く変色する」デメリットが気になる場合は、もう一つのお薬「Fバニッシュ」があります。
これはサホライドと同じような効果がありますが、歯が黒くなりません。
唾液と接することで固まる、やや黄色味がかった半透明のお薬です。
ただしこちらのFバニッシュはサホライドより効果が続きにくいため、何度か塗布を繰り返す必要があります。
またFバニッシュは固形化してその場所に留まる性質があるため、違和感を気にする子や小さいお子さまの場合は直接フッ素をガーゼ等で塗布する方法をとります。
定期的な診断と予防を
初期むし歯は一般のお母さま方には非常に見つけにくいものです。
前歯が生え始めたら、まず地域で行われている「小児健診」を(福岡市西区では1歳6か月児健診で歯科の検診は行なっています)、それ以降もなるべく定期的な診断と、むし歯予防を心がけていただきますようお願いいたします。
福岡西ワハハキッズデンタルランドでは、お子さまのお口の定期管理を承っております。
ご質問・ご相談はいつでも、医院の方までお気軽にお電話ください。
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